不動産売却時に必要な媒介契約とは?一般・専任・専属専任の違いを解説

不動産知識

不動産売却時に必要な媒介契約とは?一般・専任・専属専任の違いを解説

不動産売却を調べていると、聞き慣れない言葉に出会うことが多いでしょう。
理解しないまま契約を進めると、後で不利益を被る可能性があります。
疑問点は早めに解消することが大切です。
この記事では、不動産会社と交わす「媒介契約」について、基本的な内容や3種類の契約のメリット・違い、契約を結ぶ際の注意点をわかりやすく解説します。

不動産売却時に必要な媒介契約とは

不動産売却時に必要な媒介契約とは

不動産を売却する際、個人で買い手を見つけるのは難しいため、不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。
仲介を依頼すると、不動産会社は宅地建物取引業法のもと、依頼者にとって不利にならない売買契約の成立を義務付けられます。
その際、売却条件や報酬に関する合意事項を定める「媒介契約」を結び、これを契約書として取り交わすことで双方の責任を明確にし、トラブルを防ぎます。

媒介契約で決める内容

媒介契約には、次のような事項が記載されます。

●媒介契約の種類(一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類)
●有効期間(契約が有効な期間)
●報酬額と支払い時期(売買成立時に不動産会社に支払う報酬額とタイミング)
●不動産会社の義務(レインズへの登録、定期的な活動報告など)
●違約金の発生条件


媒介契約の標準的な内容は国土交通省が定めた「標準媒介契約約款」に準じていますが、売主に不利益がない範囲で特約を追加することも可能です。

媒介契約を結ぶ理由

媒介契約は、不動産会社に買主との売買契約を仲介してもらうことを条件に、取引が成立した場合に報酬(仲介手数料)を支払うという内容です。
不動産の売却には市場動向や価格設定の見極めが必要であり、また、多くの買主にアプローチすることが重要なため、売主が自力で買主を見つけるのは難しいとされています。
そのため、媒介契約を通じて不動産会社のサポートを受け、買主探しや売買契約の手続きを進めるのが一般的です。
なお、媒介契約は口約束でも成立することがありますが、依頼者には必ず「媒介契約書」を交付しなければならないという義務があります。
媒介契約書が交付されない場合、その不動産会社が信頼できない可能性もあるため注意が必要です。
この契約書があることで、契約内容が明確化され、後々のトラブルを未然に防げます。

不動産売却時に必要な媒介契約3種類のメリットと違い

不動産売却時に必要な媒介契約3種類のメリットと違い

不動産売却時には、不動産会社と「媒介契約」を結びます。
この媒介契約は3つの種類があり、それぞれ依頼者(売主)の自由度や不動産会社の責任範囲が異なります。
媒介契約の種類ごとに、異なるルールが設けられています。

専属専任媒介契約

「専属専任媒介契約」とは、売主が1社の不動産会社だけに仲介を依頼する契約で、他社との併用契約は認められません。
また、売主が自ら買主を見つけた場合でも、その取引は必ず不動産会社を通さなければなりません。
契約の有効期間は通常3ヶ月で、契約締結の翌日から5日以内に指定流通機構(レインズ)への登録が義務づけられています。
不動産会社は7日に1回以上、売却の進捗を売主に報告する義務もあります。
メリットとデメリット
専属専任媒介契約は、不動産会社が確実に仲介手数料を得られるため、積極的な売却活動が期待できる一方で、1社に依頼を限定する「囲い込み」のリスクが存在します。
そのため、不動産会社が物件を独占し、時間をかけすぎるリスクがあり、注意が必要です。
売主は、レインズに登録された物件の進捗状況を確認することができます。

専任媒介契約

「専任媒介契約」も1社のみに依頼する契約ですが、売主が自ら見つけた買主と直接売買契約を結ぶことが認められています。
有効期間も3ヶ月で、契約締結の翌日から7日以内にレインズへ登録する義務があります。
不動産会社は14日に1回以上、売却状況を報告する義務があります。
メリットとデメリット
専任媒介契約は、報告義務や売却活動の義務があるため、不動産会社の積極的な販売が期待できます。
また、自力で買主を見つけることができる点もメリットです。
ただし、専属専任媒介契約と比べると、レインズ登録や報告頻度が少なくなります。

一般媒介契約

「一般媒介契約」とは、複数の不動産会社に自由に依頼できる契約で、売主が自ら買主を見つけて契約を結ぶことも可能です。
また、レインズへの登録義務や売却状況の報告義務もありません。
一般媒介契約には、依頼先の不動産会社に他社にも依頼していることを通知する「明示型」と、通知をしない「非明示型」があります。
メリットとデメリット
一般媒介契約は、複数社に依頼することで競争が生まれ、早期売却が期待できます。
しかし、競争が激しい物件でなければ、不動産会社が積極的に活動しないことも多く、売却活動が長引く可能性があります。

不動産売却時に媒介契約を結ぶ際の重要な注意点

不動産売却時に媒介契約を結ぶ際の重要な注意点

不動産の売却をする際に、不動産会社と媒介契約を結ぶことになりますが、契約内容をよく確認し、慎重に選ぶことが大切です。
とくに、契約書に記載されている内容や契約の種類について、事前に理解しておく必要があります。
ここでは、媒介契約を結ぶ際の注意点と、専任媒介契約や専属専任媒介契約がおすすめな理由を解説します。

注意点①媒介契約書の内容を確認しよう

媒介契約を結ぶ際には、契約書の内容を細かく確認することが最も重要です。
契約書に署名・捺印する前に、以下の項目を必ずチェックしましょう。

●契約の種類
●レインズ(不動産流通機構)への登録期限
●業務報告の頻度と方法
●契約の有効期間
●報酬額や支払いのタイミング
●違約金が発生する条件
●契約解除条件


これらのポイントを事前に確認し、説明を受けて合意した内容に相違がないか確かめることが大切です。
また、契約書に記載された内容が法律に違反していないかも確認しましょう。
たとえば、報酬額が法定上限を超えていたり、専属専任媒介契約の契約期間が3ヶ月を超えていた場合、宅地建物取引業法に違反する可能性があり、法的に問題が生じることになります。

注意点②一般媒介契約では不動産会社の数は適切に選ぶ

一般媒介契約の特徴は、複数の不動産会社に販売活動を依頼できることです。
しかし、契約する不動産会社の数を増やせば良いというわけではありません。
契約する数が多くなるほど、連絡や手続きが煩雑になり、管理が大変になります。
おすすめするのは、3~4社程度に絞ることです。
複数の不動産会社が物件を販売する場合、それぞれが独自に物件を紹介し、買い手と交渉をおこないます。
内見予約が重複したり、ほぼ同時に購入申し込みが入ったりすることがあります。
このような場合、スケジュール管理を徹底すれば内見予約の重複は防げますが、申し込みの順番を巡るトラブルが発生する可能性もあります。
売主は、申し込みを受けた順番で交渉を進めるのが一般的なので、申し込みを受けた日時を正確に把握し、契約が決まった際には速やかに各社に連絡することが重要です。

専任媒介契約や専属専任媒介契約がおすすめな理由

専任媒介契約や専属専任媒介契約を選ぶと、不動産会社がより責任を持って販売活動をおこないます。
これらの契約では、特定の不動産会社に販売を任せることが決まっているため、情報の管理が一元化され、トラブルを避けることができます。
とくに専属専任媒介契約では、売主が他の不動産会社と契約できなくなるため、選んだ会社が集中して販売活動をおこない、売却の進捗状況も把握しやすくなります。
これにより、売却活動の透明性が高まり、よりスムーズに取引が進む可能性が高くなります。

まとめ

不動産売却時には、売主が不動産会社と媒介契約を結ぶことが必要です。
媒介契約書には、契約の種類、報酬額、業務報告などが明記され、トラブルを防ぐ役割があります。
とくに専任媒介契約や専属専任媒介契約は、不動産会社の責任を明確にし、売却活動をスムーズに進めるためおすすめです。


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